立て替え払いをしたとき

健康保険では、いったん医療機関等に全額支払った費用について、後で健康保険組合から払い戻しの給付を受けられる場合があります。

立て替え払いをしたとき

療養費(被扶養者の場合は家族療養費)

健康保険では病気やケガをしたときはマイナ保険証等を提示して保険診療を受けるのが原則です。

しかし、たまたま出張先で急病になりマイナ保険証等を持っていなかったときや、旅行先で倒れて保険医でない医療機関に運ばれたときなどは、とりあえず医療費の全額を支払い、あとで健保組合に申請して払い戻しを受けることになります。このような給付を療養費(家族療養費)と言います。

療養費の場合、健康保険で認められている治療方法と料金に基づいて計算し支払われるので、かかった費用の全額が給付されるとは限りません。

また、立て替え払いには、このほか治療用装具をつくったとき、入院・転院などの際の移送費、輸血の際の血液代、医師の指示による、はり・きゅう治療を受けたときの代金などがあります。

参考リンク

このようなときも療養費が支給されます

医療の内容 払い戻される額
マイナ保険証等を提出できず、やむを得ず受診したとき 健康保険の給付の範囲内で算定された額の7割(小学校入学前は8割/高齢受給者は8割~7割)
他の保険者から返還請求がきたとき 同上
保険医の指示により、義手・義足・義眼・コルセット等の治療用装具を購入、装着したとき 同上
保険医の同意を得て、はり・きゅう、あんま・マッサージ・指圧の施術を受けたとき
参考リンク
同上
9歳未満の小児が小児弱視等の治療で眼鏡・コンタクトレンズを作成・購入したとき 同上
リンパ浮腫治療のために弾性着衣を購入したとき 同上
生血液の輸血を受けたとき 同上
海外でやむを得ず治療を受けたとき 国内の治療費を基準として算定された額の7割(小学校入学前は8割/高齢受給者は8割~7割)
歩行困難な重篤患者の入院・転院のとき 最も経済的な経路により移送された費用を基準に算定された額

注意事項

  • 急病で保険医に自費でかかったときでも、診療月内に医療機関の窓口にマイナ保険証等を提示すれば精算できる場合がありますので、早めに医療機関窓口へお問合せください。
  • 自費診療の場合は自由診療扱いとなり、医療機関は本人から総診療費の150%でも200%でも取ることは可能となります。ただし、健保からの払い戻し額はマイナ保険証等を使った場合の総診療費を100%として算定した額になるので、最終的に本人の自己負担額はマイナ保険証等を持たないことで非常に高くなることがあります。

海外で病気やけがをしたとき

海外療養費とは

海外出張中の社員が急病でやむを得ず現地の病院にかかった場合などは、海外でマイナ保険証等は使えないため、いったん医療費の全額を支払い、後日証明書類等を健保組合へ提出して払い戻しの手続を行うことになります。

海外では治療内容のレベルや治療費は国によって異なりますが、払い戻される金額は日本国内の健康保険の治療費を基準として算定されるため、病院での支払い額の単純に7割が戻るわけではありません。場合によっては多額の自己負担が生じる場合もあります。

支給額

国内の健康保険での治療費を基準として算定された額の7割(小学校入学前は8割/高齢受給者は8割~7割)相当額が払い戻されます。

注意事項

  • 国内より高度な治療を受けたい、などという「治療を目的」として海外で診療を受けた場合は、支給対象外となります。
  • 海外旅行中などで、直ちに海外の病院にかからなくてはならないやむを得ない理由もなく、帰国後治療が可能なものに対して海外療養費は支給されません。

歩行困難な重篤患者の移送

移送費(被扶養者の場合は「家族移送費」)

災害現場で負傷し、重症で歩けず医療機関に緊急入院した場合や、入院した病院に設備がないため医師の指示で直ちに緊急で他の病院へ転院する場合などに、搬送された費用は申請により健保組合から移送費として払い戻されます。また、被扶養者についても、家族移送費として同様の給付が受けられます。

支給要件

下記のいずれにも該当すると健保組合が認めた場合に支給されます。また、事前に健保組合の承認を受けることが必要です。(やむを得ない場合は事後でも可とします。)

  • 入院・転院を医師が必要と認め、直ちに移送しなければならない理由があること。
  • 移送が必要な病気やケガが健康保険でかかれるものであること。
  • 病気やケガのため歩行が著しく困難なこと。
  • 緊急その他やむを得ないこと。

支給額

最も経済的な通常の経路および方法により移送された費用を基準に健保組合が算定した額を支給します。

移送費の支給対象となる費用

支給の対象となる費用は以下の通りです。

  • 自動車、電車等を利用したときは、その運賃
  • 運転手などを雇った場合は、その賃金・手当・宿泊料など。
  • 医師や看護師の付添が必要である場合は、医学的管理が必要と医師が判断した場合に限って原則1人分の交通費・日当・宿泊料など。

注意事項

  • 普通の通院でタクシーなどを利用した場合は、移送費の支給対象外となります。
  • 入院したあと、症状が安定した頃に他の病院へ転院する場合などは緊急性が認められないため移送費は支給されません。

こんなことにご注意ください

療養費を請求する時効は、療養に要した費用を支払った日の翌日から2年です。